FEATURE~知故加新vol.7~塩について。

2018/10/17

私が料理をする上で大切にしている事柄のひとつに塩加減があります。

味噌やしょうゆといった素晴らしい調味料がたくさんありますが、食材の美味しさを引き出したり、繊細さを味わうのはやはり塩をおいて他にはないと思います。

また、防腐作用や日持ちを良くしてくれる働きがあるので日本のみならず世界中で様々な塩漬けがありますね。

子供時代に家にある塩といえば塩辛いだけのさらさらの食卓塩でした。

塩という調味料が好きでサラダにかけるのはマヨネーズやドレッシングではなくて塩、お刺身にも醤油ではなくて塩を選択するちょっぴり変な子供たった私。

それから大人になり、旅先や食材店で様々な自然塩を見かけ、買い求めるうちに塩の多彩さに魅せられるようになりました。

塩辛さだけではなく、そこに衣をまとったように様々な旨みや風味があり、粒の大きさからがくる食感、そして色に至るまで組み合わせは無限大。

その地方の海水から出来ていますから同じ日本の海でもその場所の海水の成分によって味は異なります。

それぞれの個性があり、またそれに合う料理や調理法も様々であり、

皆さんも機会があったら是非いつもと違う自然塩を買い求めて味わって欲しいと思います。

その地方の海の味を感じる事ができたら儲けものです。塩で日本のみならず海外旅行だって可能なのだから。

以前は引き出しが一杯になる位に様々な種類の塩を持っていましたが(素晴らしい事に塩には賞味期限がない!)

今は淘汰され、3種類に落ち着きました。
その3つをご紹介します。

・ てんぷら、春巻きなどの揚げ物や刺身や豆腐などの和の食材のかけ塩には瀬戸内の藻塩
・ ステーキや焼き野菜など比較的食材に特徴がある場合にはフランスのフルール・ド・セル
・ 塩麹、塩鯖、漬け物などの仕込みには沖縄のシママース

塩によって適したレシピをご紹介しますね。

〜藻塩を使ったレシピ〜
かきの天ぷら(2人分)

<材料>
かき(正味) — 150g
A:しょうゆ — 大さじ1
A:酒 — 大さじ1/2
天ぷら粉 — 大さじ2
冷水 — 大さじ1と1/2
揚げ油 — 適量
すだち — 1個
「藻塩」 — 適量

<作り方>
1.かきは塩水で洗い、水気を切り、キッチンペーパーで拭く。
2.1にAを漬け15分程おく。
3.天ぷら粉を冷水で溶いて衣を作り、2を絡め、熱した揚げ油でカラリと揚げる。
4.すだちを絞り、「藻塩」をつけていただく。

〜フルール・ド・セルを使った料理〜
ラムとポテトの蒸し煮(4人分)

<材料>
ラムチョップ – 8本
じゃがいも – 5〜6個。 
タイム(又はローズマリー) - 4〜5枝
にんにく – 1株
コンソメスープの素 – 1個
「フルール・ド・セル」、こしょう – 少々

<作り方>
1. ラムは軽く塩、こしょうする。
2. じゃがいもは皮を剥き。3〜4等分にする。
  にんにくは1株をバラバラにして、薄皮を剥く。
3. 厚手の鍋にラムを並べて、じゃがいもとにんにくをのせて、タイムを散らして軽く「フルール・ド・セル」とこしょうをふる。
4. 3に水1カップとコンソメスープの素を加えて強火にかける。
  アクが浮いてきたら取り除き、弱火に落として蓋をして30分程、蒸し煮にする。蓋を開けて、汁気が殆どなくなるまで煮る。

〜シママースを使った料理〜
手づくり柚子こしょう (作りやすい量)

<材料>
青唐辛子 — 6本
青柚子の皮 — 1個分
「シママース」 — 小さじ1

<作り方>
1 青唐辛子の種とヘタを取りみじん切りにする。
2 これをすり鉢で滑らかになるまですり、すり下ろした青柚子の皮とそ
  の果汁、塩を混ぜ合せる。

*煮沸した瓶に入れ、1年は保存可です。


あくまでこれらはレギュラーメンバーです。たまに選手交代もありです。参鶏湯にはヒマラヤの岩塩、塩アイスにはバニラアイスに砕いたマカデミアンナッツと沖縄の雪塩(これは譲れない!笑) などなど、、

さすがに引き出し一つ分ではないけれど塩専用の小さなかごが戸棚の中にちょこんと鎮座しています。

最後に心に止めておいて欲しい事柄があります。

それは塩加減は疲れのバロメーターだという事です。
疲れていると料理の味付けが塩辛くなる傾向があります。丁寧さがなくなり、味覚も鈍り、料理が荒くなってしまうのが原因なのかな、、(レストランで出された料理が塩辛かったらシェフはお疲れ気味かも?!)

そんな時、私は取り返しがつかなくなった料理に大きな後悔と反省をして、少しばかり自分を労ることにしています。ゆっくりお風呂に入ったり、いつもよりも早めに寝たりと。
奥深い塩の魅力は私を引きつけて止みません。

(高木あゆみ ライフスタイルクラブ お弁当デザイナー講座講師)

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