蕎麦打ち名人永山寛康～蕎麦あれこれ～『種物』

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FEATURE蕎麦打ち名人永山寛康～蕎麦あれこれ～『種物』

2018/02/23

まだまだ寒いこの季節、普段は冷たい蕎麦しか食べない方も、たまには温かい蕎麦を食べたくなること、あるんじゃないでしょうか。
具が入った蕎麦のことを「種物」と言います。これは温かい蕎麦に限った言い方では無いのですが、具が入った蕎麦は温かい品が多いので「種物」といえば、やはり温かいお蕎麦を連想しますね。
実はこの蕎麦屋さんの「種物」の話、奥が深いんです。

先日、私のところに来た若い人が「蕎麦の専門家の前で言うのもはばかられるんですが、邪道と思われちゃいますけど実は僕、カレー蕎麦大好きなんです」
そして彼は続けます、
「はっきり言って邪道です、邪道なのはわかっているんだけれど、あれ本当にうまいっすよね！」
いやいや、またかと私は思いました。
いったい邪道って何なのかしら？邪道の対義語は正道だけど、いったい正道って何なのかしら？
古くからある、いわゆる古典的？なものが正道で、新たに出現した変わり種が邪道なのか。

さて、突然ですが、ここで問題です。

問題
これから示す蕎麦屋の「種物」のうち、あなたが古くからあると思われる物の順に並べてみて下さい。並べ終えた上でその中で一番新しいと思われる「種物」を答えなさい。

【1】鴨せいろ（鴨汁せいろ）
【2】天ぷらそば
【3】天せいろ（天ざる）
【4】とろろ蕎麦（山かけ蕎麦）
【5】コロッケ蕎麦
【6】鴨南蛮（鴨そば）
【7】カレー蕎麦
【1】おかめ蕎麦

どうでしょう、けっこう難問です。
俺は、私は蕎麦通と自慢の方なら、簡単かもしれませんが、以外に知らないものですよ。
古いものは、これよりこちらがとは言い切れるわけではありませんので、正解も曖昧になってしまうところがありますが、新しいものに関しては、いつ頃に出てきたのかは、解っていますので取りあえず正解があります。

「邪道？じゃ、どうだ！」と私が言いました。
「さて、突然ですがここで問題です」くだんの彼に同じ問題を出しました。
いろいろと迷った挙句に彼が出した答えは「おかめ蕎麦」。
何んでこう思ったのと問いますと「食べたことないし、アニメ的だから」って、何考えてんだろう。

ブ〜不正解です。

正解は、「とろろ蕎麦（山かけそば）」なんです。
えぇ〜一番昔からありそうなのにと、思われるでしょうが、以外に新しい「種物」なんです。これ、確実に言えるんです。
何故ならば、この「とろろ蕎麦」は、私の師匠が蕎麦屋の「種物」として、はじめに売り出したと言われているからです。

この事は御自身からもよく聞かされておりました。
しかも昭和になってから、しかも新宿の今のALTAの裏で。
面白い「種物」話は、沢山ありまして今後も一品一品その逸話など、詳しく書いて行きますけれど、いやいやこれは深いものです。

「せっかく来たんだから、あなたの好きなカレー蕎麦作ってあげようか」と言いますと、くだんの彼氏は「喜んで頂きます」とニコニコしています。
こちらもつい嬉しくなって、ちょっと凝ったカレー蕎麦を急いで作りました。
「うまそうーすっ、クリーム仕立てですか、頂きます」
「どうぞ、カレー蕎麦は切れやすいけどね、汁も飛びやすいから、服汚さないようにどうぞ召し上がれ」
「あの、すいません、マヨネーズありますか」
突然、彼に言われました。
「マッ、マヨネーズ？！」
「ええ、僕が好きなカレー蕎麦の食べ方で、マヨネーズこれでもかって位たっぷりかけるとこれがうまいんです」
くだんの彼氏が宣う。
「よーおい、それよ、それって絶対、邪道中の邪道だぜ」
叫びの中で思いました。
この世の中、何が邪道で正道か、わからん事が本当に多いです。

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