COLUMNそば(蕎麦)打ちに最適なつなぎはどれ?割合の違いは?
「十割そば粉で作ったそば(蕎麦)」というのは、そば(蕎麦)の香りが鮮やかに感じられ、非常に魅力的なものです。
しかし、「つなぎに何か別のものを使ったそば(蕎麦)」もまた、違う魅力があります。
今回は、そば(蕎麦)打ちに使われる「つなぎ」の種類に着目してお話していきましょう。

■つなぎの割合について
意外に思われるかもしれませんが、「そば(蕎麦)」と名乗っていいものは「そば粉を30パーセント以上使ったもの」です。そのため、残りの70パーセントが違うもので作られていても、それは蕎麦と名乗ってもいいわけです。
これは全食品のなかでもかなり珍しいことだと言えます。ちなみに、乾麺にいたっては、「そば粉が何割か」を記載する必要はあるものの、「1割以下」というざっくりした表記が許されてしまうため、5パーセント以下でも「1割以下のそば(蕎麦)」として打ち出してもよいのです。ただ、一般的なそば粉とそれ以外のつなぎ割合は、以下のように表記されるのが一般的です。
十割そば・・・上でも述べたように、材料のすべてをそば粉で作り上げているもの。つなぎが入っていない。
九割そば・・・つなぎが約1割、残りがそば粉で作り上げるもの。
二八蕎麦・・・つなぎが約2割、残り8割がそば粉で作り上げられている。一般的なそば屋の場合は、このかたちをとることが多い。
このように、「つなぎの割合」で、「どんな風に呼ばれるか」が異なります。
■つなぎの種類について
ここからは、つなぎの種類について見ていきましょう。
◇小麦粉
まず、代表的なものとして「小麦粉」が挙げられます。ただ、これは「薄力粉」「中力粉」「強力粉」に細分化されます。
薄力粉であってもつなぎ粉として利用することはできるのですが、これの場合はグルテン(つなぎ成分)が強くなく、つなぎに求められる「切れにくいさ」を求めることが少し難しくなってしまいます。
そのため、中力粉か強力粉を使うのが一般的でしょう。中力粉は、もっともよくそば打ちのつなぎ粉として利用されているものです。そば(蕎麦)の魅力である、つるりと喉に滑り込む食感を出しやすく、ある程度のハリも楽しむことができます。
対して強力粉の場合は、グルテンが強く出るため、かなりもっちりとした仕上がりになります。また、打ちにくさのあるそば粉であってもしっかりとつないでくれるという特徴があります。ただ、「のど越しの良さ」という意味では、中力粉に劣ります。
◇卵
そば(蕎麦)文化が大きく発展した江戸時代においては、「高級品」「病気のときにだけ食べられるもの」とされていたのが「卵」です。昭和~平成初期には「物価の優等生」と言われていた卵ですが、江戸時代は1個当たり400円~500円程度もしていました。かけそばはその5分の4程度の値段だったと考えられていますから、そば(蕎麦)そのものよりも高い値段だったわけです。
卵を使ったそば(蕎麦)はいろいろな地方で見られます。ただ、上記のような事情があったため、小麦粉ほどは広まっていなかったと考えられています。ちなみに、卵を使う場合は、卵黄100パーセントで使う方がつなぎやすくなるようです。
◇自然薯など
ネバネバとねばる自然薯をそば(蕎麦)のつなぎに使うことも、決して珍しくはありません。自然薯が持つその豊かな風味は、蕎麦にまた別の味わいを付け加えてくれます。これをそば(蕎麦)のトッピングとして利用することもありますね。
また、非常に面白いのですが、そば(蕎麦)のつなぎとして使われるものに「葉っぱ」があることをご存知でしょうか。
ヤマゴボウの葉(オヤマボクチ)もまた、そば(蕎麦)のつなぎとして使われているのです。
ヤマゴボウの葉に存在する細かい繊維を利用してつなぎとするものであり、信州のそば(蕎麦)などでよくみられます。
◇海藻
山でとられるつなぎとして、自然薯やヤマゴボウの葉を取り上げました。しかし実は、産みでとれるものを利用して作るそば(蕎麦)もあるのです。
その代表例が、「へぎそば」です。へぎそばは新潟県の郷土料理として名高いものであり、これは海藻であるフノリを使って作られています。ちなみに、「へぎ」というのは器の名前なのだとか。これはやや緑がかった色をしており、独特の風味を放ちます。
ちなみに、この「フノリ」はかつては食用としてだけでなく、着物にノリをきかせるためにも使われていました。今では便利な道具がたくさん出ていますが、昔は「食事に使うもの」と「日常の生活に使うもの」が非常に近い距離にあったのだということがよくわかる話です。
■まとめ
そば(蕎麦)のつなぎの種類は様々なものがあります。市販のそば(蕎麦)のつなぎとしては、小麦粉などが多くを占めていますが、自分で作る場合は自然薯や海藻など様々なつなぎを使うことができます。
使うつなぎ次第でそば(蕎麦)の風味も変わるため、もし一度そば(蕎麦)を打つ機会があれば一度試してみてはいかがでしょうか。
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