FEATURE~美文字への道 vol.3~ 『自分の書く文字、ここに気をつけてみましょう。ぐっと美文字に近づきます。』

2018/08/10

このコラムも3回目となりました。

これまでは、「どうして字を美しく書くことが必要か」や、
「手書きで書くことの意味や大切さ」についてお話してきたのですが、

今回のコラムからはもう少し実践的に、
普段の字が少しでも美しい形になるようなポイントをお伝えしていこうと思います。

そもそも文字は何で出来ていると思いますか?

普段字を書くときは、そんなことを意識したことはないと思います。
改めて聞かれると、答えに詰まってしまうかもしれません。

しかし字をよく見てみると、それを構成しているのは、縦・横・斜めといった点と線です。
そんな単純な線が、時に簡単に、時に複雑に組み合わさってできているのが文字なのです。

よく、「文字は人なり」と言われますが、私はここにこそ、その答えがあるように思います。
つまり、単純な線だからこそ、そこにどう向き合うのか。
それぞれの方の向き合い方の違いがはっきり表れるような気がします。

今まで書道講師としてたくさんの生徒さんの字を拝見してきました。
やはり書かれる文字にはそれぞれの個性があり、
時には書き手の性格を如実に映しているようにさえ思います。

すこし例をあげてみると。。

・几帳面で真面目なAさん
書く線は、やはり真面目な印象で角度もまっすぐ。
3本ある線の長さもきっちり同じだったり。

・おおらかで優しいお母さんのBさん
文字は、線と線の間が離れていておおらかさが伝わりますし、
角も丸く取れていて全体的に柔らかい印象の字を書いていらっしゃいました。

その一方で、

・自分の意見をもってバリバリ仕事をこなすCさん
線は、いつも仕事で早書をしているせいもあってか、
勢いよく書かれていて、文字もシャープな印象でした。

私自身これだけ様々な字を見てくると、「文字は人なり」。
とても説得力があるなと思ってしまいます。

よく、就職活動時期をむかえた大学生が「エントリーシートを綺麗な字で書きたいんです!」と
駆け込みで私のお教室にいらっしゃいます。

確かに仕事上ではパソコンやメールを使うことがほとんどになったとはいえ、
「履歴書は手書きで書く」というのは、いまだ根強いようです。

あるとき、企業で採用担当をされている方とお話しする機会があった際には、

「うちでは必ず、履歴書は手書きで書いてもらっています。字をみると、人となりがある程度わかりますよね。丁寧に書いてあると、きっと仕事も丁寧なんだろうなって。書かれている文字がもう、その人の第一印象なんですよ。」と、仰っていました。

「字を見て印象が決まる」というのは、

やはり日本的なのかもしれません。

でも、普段書いている文字(単純なもの)への向き合い方に、
その人の全てが表れるという考えは、
その通りだなと思うと同時に、素晴らしいとも思うのです。

さて、そんな単純な点と線で構成されている文字。

ちょっとしたところに気を付けて書いてみると、
誰でもかなり美文字になると思います。

まず気を付けて頂きたいのが、

横線の角度です。

美しい文字の横画は、必ず右上がりになっています。

皆さんが普段何気なく書かれている文字の横画はどうなっているでしょうか?

まっすぐになっていたり、右側の線の終わりが、書き始めの左に比べて下がっていたりしないでしょうか?

ただ、右上がりになっている方が美しいからと
思い切り角度をつけてしまうと逆にくせ字に見えてしまうので注意が必要です。

少し右が高いかなというぐらいで十分です。

次に、平行ということに気を付けてみてください。

文字は1本の線だけで終わることは少なく、
たいていの場合は何本かの線を同じ方向に引くことが多いのです。

その時に、線と線の方向がきちんとそろうように書いてみると、
丁寧できちんとした印象になります。

上の線は右上がりだけれど、真ん中の線はまっすぐ、はてまた最後の線が右下がり・・・なんてことになっていないでしょうか?
一本目の線を基準にして書くようにすると綺麗に仕上がりますよ。

そして最後に気を付けるのは、線と線の間が等間隔かどうかということです。
せっかく綺麗に平行に線が引けても、その間がバラバラだと美しくは見えません。

棚でも、段の高さが同じで揃っていたほうがバラバラよりも綺麗に見えるのと同じことだと思います。
線と線の間に同じ大きさのボールが入ることを意識して書いてみてください。

今回お伝えしたのは、美文字ポイントのとても基本的なところですが、
とても重要な部分でもあります。私自身も書くときに必ず気を付けているところです。

ぜひ違っていたと思う部分があったのであれば実践してみて頂くと
文字が美文字に代わってくると思います。

次回からはもう少し詳しい、美文字ポイントをお伝えできればと思いますので

お楽しみに!


(斉藤美苑 東洋書道芸術学会師範 東洋書道芸術学会評議員)

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