FEATURE「嫁と僕のおけいこライフ」*前編 〜人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そしてライバル〜

2019/05/16

僕=マサル。静岡県出身の39歳。実家はお茶農家。広告編集プロダクションに勤務。自称ハーブ男子。最近、前から欲しかった鰹節削り器をようやく購入。削り立てのカツオの香りに癒されている。
嫁=よしえ。大阪府出身の45歳。物書き。昼間は、児童小説や絵本を描き、夜は町歩きエッセイを執筆。得意料理はトンカツとハンバーグ。好物は卵かけ納豆。

平和を愛する真面目サラリーマンの「僕」と、物書きの「嫁」が、さまざまなおけいこに挑戦する物語。今月は以前から気になっていた糖質オフを学ぶ授業へ。きれいな女子にはみんな「きれいのひみつ」があるらしい。ダイエット成功者の情報を収集し、なんとか「嫁」を痩せさせようとこころみる「僕」だが……。

春。嫁が肥える季節だ。嫁は出会った頃からぽちゃ体型だったが、年々静かにバージョンアップしている。わが家にはタニタの体重計があるが、洗面台の奥にずっとしまわれたままだ。嫁に現実を直視させたい。来月、嫁と共通の友人の結婚パーティがあり、僕の旧友も一堂に会す。友には、嫁が今より推定5kg痩せていた頃の写真(それも奇跡の1枚)しか見せていない。皆、初めて会う嫁に興味津々だ。嫁よ、頼むから痩せてくれよ。大きな声で言ってみる。ただし心の中で。

テレビ番組で、タレント女医が、「うちの美容クリニックに来られる方は、皆さん色んな努力をされています。その方法は千差万別。正解はひとつではありません。ただきれいな人は、必ずご自身だけの『きれいのひみつ』をお持ちです」と話していた。なるほど、女子にはそれぞれ人には話さない「美のひみつ」があるのか……。僕はさりげなく仕事仲間の女子に聞き込み調査を始めた。

グッドエイジング糖質オフアドバイザー講座とは?

まず最初に「ひみつ」を教えてくれたのは、最近10kgのダイエットに成功したコピーライター40歳。「パーソナルトレーナーをつけて週3のジム通いと徹底した食事プログラムで目標クリア。でもお金が続かないんだよ。だからこれからは自力でキープ」。2人目、「下半身整体と肉中心の食事」で8kg減量。「洋服のサイズダウンもしたけど化粧のりが良くなった」とか。メイクのことはよくわからないが、確かにつやつやのお肌だ。3人目、「コルギ(韓国式エステ)で骨格矯正に。超痛い」らしいが3kgダウンし、横顔が別人。4人目、「3日間断食道場合宿で4kg落ちた。健康診断の結果が良好でびっくり」。みんな、時間にして1〜2ヶ月、予算は平均8〜10万円をかけている。そして全員の共通しているのは、ライバルがいたこと。友人や身内が痩せてきれいになったことががんばるきっかけになったそう。

「ね、わたしちょっと太った?」時々、僕に尋ねてくる嫁。答えはイエスだが、コワいので「そお? 変わらないんじゃん」と優しい嘘をつく。世の女子は、皆それぞれ1に努力、2に努力。お金と時間を捻出し自分だけの美的ミッションを遂行しているのであるぞ! 嫁よ、危機感を持て、危機感を。と心の中だけで言う。

そんな時、参加したのは「グッドエイジング糖質オフ」1DAY講座。体重計には乗らないが、ロカボについては以前から興味を持っている嫁と僕。これまで、さまざまな講座の先生たちと出会ってきたが、今回の先生はじつにドラマチックな半生をお持ちであった。

グッドエイジング糖質オフアドバイザー講座とは?

蔦先生は、もともと法曹界で働く親のあとを継ごうと、大学は法学部に進学されたという。しかし当時世の中は、まだ男性社会。女性が法律の世界で活躍するのは厳しかったため、手に職をつけようと、神戸の一流ホテルのエステに就職する。そこで体得したのはフランス「ゲラン社」のエステ技術。数々の芸能人など、のべ2万人以上のお肌を見てきたという。
「ですから、ひと目見るとどういう肌タイプなのかはすぐにわかりますよ。でもエステだけではやはり限界があるんです。(若返り・美を追求するには)これからは医療美容だろうと新たな業界に飛び込みました」
ここでまず嫁と僕は軽いショックを受けた。高級エステに通えば、己が求める美を手に入れられるというのは幻想ということだ。先生の新境地での体験談が続く。
「私が勤めた医療クリニックでは当時、リフトアップするのに皮膚をひっぱりあげて耳のあたりで止めるというのが基本でした。それもやり過ぎると、今度はいったん顔の皮膚をはがして余ったところを切って、縫い付けるんです」
ひぃっ! 僕は思わず両手で頬を覆った。いったん皮膚をはがす……。ほとんどホラーだ。もちろん時代も変わり、技術は多様化し急送な進歩をとげているだろう。だとしても医療美容とは、命をかけた一大事なことには変わりない。
「すごいよ、こんなリアルな話、聞いたことないよ……」
ホラー好きの嫁が目をきらきらと輝かせている。先生の話は続く。
「ずっと私は忙しい毎日を送っていました。そして30代になった時、お腹に腫瘍が出来まして、調べたらガンでした」
教室に、さっきとは違うざわめきが起こった。蔦先生はどこから見ても健康そのものだ。声も身体も顔も若々しくすこやかな美に溢れている。
<後編へ続く>

◆さくらいよしえ(ライター)
1973年大阪府生まれ。日本大学芸術学部卒。
月刊『散歩の達人』や「さくらいよしえのきょうもせんべろ」(スポーツニッポン)、「ニッポン、1000円紀行」(宅ふぁいる便)など連載多数。著書に『にんげんラブラブ交叉点』『愛される酔っ払いになるための99 の方法 読みキャベ』(交通新聞社)、『東京千円で酔える店』『東京せんべろ食堂』『東京千円で酔えるBAR』(メディアファクトリー)の他、絵本「ゆでたまごでんしゃ」(交通新聞社)、児童小説「りばーさいど ペヤングばばあ」(小学館)など児童向け書籍も執筆。

グッドエイジング糖質オフアドバイザー講座

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