FEATURE蕎麦打ち名人 永山寛康 ~蕎麦あれこれ~『恵方巻きに蕎麦寿司』
恵方巻きに蕎麦寿司なんて如何でしょう!

「節分蕎麦」は旧暦で大晦日にあたる二月三日に食べられていた年越し蕎麦。この風習はもうすっかりなくなってしまったけれど、いつの間にか定着したのが「恵方巻き」。関西では昔から行われていたと聞き及びますが、私にとっては関東では、ここ数十年の事だと思います。コンビニの売り方が上手かったのか、今ではすっかりおなじみの行事になりました。
何やら今年は南南東やや右だそうで、良くわかりませんってのが正直な気持ち。この方向に向かって「ガブリ」と喰らえば、望みが叶い良い事があるそうで、ご利益には預かりたいと思います。
この「ガブリ」するのが海苔巻き。ここは、やはり「蕎麦」の話ですから、ちょっとばかりこじ付けになりますが、蕎麦寿司の「海苔巻き(これを磯部巻きと言います)」の事をお話し致しましょう。そもそも、皆さんは蕎麦寿司自体を食べた事がない方が多いと思います。蕎麦寿司は、昔からあるいわゆる「蕎麦料理」の一種でありますが、かと言ってどこの蕎麦店でも作っていた訳ではありません。だから馴染みもないのでしょうね。

そこで今回は、蕎麦寿司の海苔巻きの作り方を簡単にちょっとだけお教えしましょう。
まず、「甘酢」を作ります。
蕎麦寿司用の甘酢は、砂糖の粘度と甘さがポイントです。
醸造酢で構いませんが、砂糖をこれでもかって位にたっぷり加えます。蕎麦は米に比べて粘り気が少ないので、煮溶けた砂糖のベタベタでこの蕎麦をつなげるのです。
その量は酢1に対して0.8の割合です。
酢を火にかけ砂糖を煮溶かせます。
まずは、すだれの表を縦目に置いて茹でた蕎麦(乾麺で可、茶蕎麦と普通の蕎麦を使えば二色の蕎麦寿司が作れます)を、甘酢にくぐらせて手にとって蕎麦に流れを作って整え、すだれに置きます。
すだれの糸目二本分に蕎麦を敷いて二十分ほど乾かしてから、蕎麦に海苔を乗せて馴染ませます。
蕎麦を手に受けてすだれを裏返したら、すだれを横目に起き(普通に巻き寿司を作る状態)海苔に乗った蕎麦を置きます。お好みの具材を中心に並べて、一気に巻きます。上手く巻けなければ慌てずに蕎麦を押し込むように巻き直してしばらく放置します。
一時間くらいそのままにすれば蕎麦寿司の海苔巻きの出来上がり。
今年の、恵方巻きは他の人と違ったおしゃれな蕎麦寿司でどうでしょう?
講座の中では詳しく作ってますので、そちらも是非ご覧ください。