COLUMN薬膳が妊婦に禁忌って本当?薬膳と体質の関係について
食材が持つ効果だけを活かして、健康の維持や美容に効果を発揮する薬膳料理。近年では、女性を中心に注目されている健康法のひとつですが、妊婦にとっての禁忌だと言われていることをご存じでしょうか? 大切なお腹の赤ちゃんを守るためにも、ここでは「薬膳と体質の関係」について知識を深めていきましょう。薬膳料理が好きな女性の皆さん、必見です!

■薬膳と体質の関係
薬膳では、中医学の理論によって体への効果を考慮した食材や献立が採用されています。
中医学とは薬膳だけでなく漢方薬や鍼灸にも用いられる東洋医学のひとつで、古くから健康維持や病気の治療・予防に役立てられてきました。
薬膳は薬とは違い、即効性のある大きな影響を与えないことで有名です。
しかし、東洋医学で広く扱われる「気・血・水」の理論によって、体質へ穏やかな変化を与えていくと言われています。
気:
体の成長、皮膚や体内の防御、汗などの排泄物の生成、多すぎる排泄物の抑制などを行い、生命力を司る
血:
全身の血の巡り、栄養や潤いの循環などを司り、「気」と密接な関係を持つ
水:
水分の貯蔵、間接を滑らかに動かす作用、五液(汗、鼻水、涙、よだれ、つば)の生成、体温調節などを司る
また、薬膳は日々の食事に取り入れることで「東洋医学上の体質」へ影響を与えます。
この「体質」とは一般的に言われる「太りやすい体質」などとは異なり、東洋医学の「気・血・水」の理論から導き出される「体質」を言います。

以下では、「気・血・水」のバランスが崩れていることによる「代表的な体質」の特徴をまとめました。
気虚:
生命力である「気」が弱まることで臓器機能が低下している状態をいいます。
各臓器の中では胃腸の機能が低下しやすく、消化吸収が正常に行われないことで免疫力の低下が起こります。
また、気と密接な関係を持つ「血」の質が低下することで生体機能が乱れ、風邪やアレルギー症状などが出やすくなります。
気滞:
「気」の流れが滞ることで自律神経が乱れている状態をいいます。
生理不順や月経前症候群を起こしやすく、慢性的なイライラや体の重さを感じやすいと言われています。
血虚:
「血」の質が低下している状態をいいます。体内では質の良い栄養が循環されづらく、肌荒れや抜け毛、集中力の低下などを招きやすくなります。
また、血を普段より消耗してしまう月経後や出産後は、血虚に陥りやすいと言われています。
瘀血:
「血」の循環機能が正常ではないため、体の末端へ栄養が届きにくい状態をいいます。
末端の冷えや肌荒れ、頭痛などが起こりやすく、精神面ではストレスを抱えやすい特徴があります。
また、「瘀血」では下肢に静脈の怒張(あざのような黒や紫の塊)が見られる場合が多くあります。
薬膳は、このような「東洋医学上の体質」に対して症状を未然に予防していくことが大きな目的です。
そのため、「薬膳と体質」は言い換えれば「方法と目的」といったように、非常に密接な相互関係で成り立っています。
■薬膳が妊婦へ与える影響とは
食べたものをお腹の赤ちゃんと共有する妊婦にとって、食材や栄養素は何よりも注意しなければいけないポイントですよね。
近年の薬膳ブームによって、食事に薬膳を取り入れる女性が増加傾向にありますが、ここで気にするべきなのは「薬膳が妊婦へ与える影響」です。
妊娠中というのは、お腹の赤ちゃんを守るために母胎の健康状態が目まぐるしく変化している時期です。
そのため、妊娠前まで口にできていたものが急に食べられなくなったりと精神面までが乱れ、東洋医学においては「気・血・水」が不安定な時期と言われています。
薬膳では、身近なものからあまり聞き慣れないものまで非常に多くの食材が使用されますが、その多くは「気・血・水」の理論による「体質」に合わせているのが基本です。
そのため、「気・血・水」が日々不安定な妊婦にとって、薬膳では食材選びに一層の注意を払う必要があるでしょう。
また、食材が与える影響を正しく知ったうえで口にしなければ、母体へ悪影響を与えるだけでなく、お腹の赤ちゃんへも危険が及んでしまう可能性があります。
このようなことから、食材選びに細心の注意を払えば薬膳そのものが禁忌ということはありません。
妊娠中に薬膳料理を楽しむ場合は避けるべき食材を確かめて、自分とお腹の赤ちゃんの健康を第一に考えましょう。
■妊婦が避けるべき薬膳食材一覧
食材が持つ効果・効能から、妊娠中に避けておくべき薬膳食材には以下のようなものがあります。
ただし、一度食べてしまったからと言って直ぐに危険が迫るわけではありません。
過剰摂取はもちろん、日ごろの意識で避けられるようにしておくのがおすすめです。
アロエ・・・子宮を圧迫する可能性がある
センナ・・・子宮の収縮を誘発する可能性がある
紅花・・・「瘀血」を下す作用が強い
ウコン・・・子宮の収縮や「瘀血」を下す作用が強い
シナモン・・大量の摂取で、肝機能の低下や子宮を収縮させる作用が強い
はと麦・・・老廃物、不純物を排出する作用が強い
■まとめ
薬膳では、「気・血・水」からなる3つの源がバランス良く流れることで健康を維持できると言われています。
このバランスが不安定な妊婦は、食材に細心の注意を払って薬膳料理を楽しんでください。
また、薬膳料理を日々の食事に取り入れていきたい方は、自分の体質や赤ちゃんへの影響をより詳しく理解するためにも、専門的な薬膳知識の修得を検討してみましょう。
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